片野メソッド ~働く大人を元気にする自律型人材育成の教科書~第8回 研修をやっても人が変わらないのはなぜか?
― 「学んだ」で終わらせず、「現場でできる」までが人材育成 ―
「研修は良かった。でも、現場は何も変わらない」
企業の人事担当者や管理職の方から、こんな話を聞くことがあります。
「研修のアンケート評価は高かったんです」
「受講者からも『勉強になった』という声がありました」
「でも、数週間経つと元に戻ってしまって……」
これは、人材育成において決して珍しいことではありません。
むしろ私は、ここに企業研修の大きな課題があると考えています。
研修の満足度と、行動変容は別物です。
「面白かった」
「勉強になった」
「気づきがあった」
もちろん、これらも大切です。
しかし、企業が研修に投資する本当の目的は、その先にあるはずです。
「明日から何が変わったのか」
「仕事のやり方がどう変わったのか」
「周囲との関わり方がどう変わったのか」
「結果として、組織にどんな変化が起きたのか」
私はここまで見なければ、本当の意味での研修効果とは言えないと考えています。
人は「理解しただけ」では変わらない
人は、正しいことを教えられれば行動できる。
もし本当にそうなら、人材育成はもっと簡単です。
「コミュニケーションが大切です」
「主体性を持ちましょう」
「時間管理をしましょう」
「部下の話を聴きましょう」
誰もが一度は聞いたことがある話です。
そして、多くの人は「分かっている」。
それでも、できない。
なぜでしょうか。
私は、そこに「自分ごとになっているか」という問題があると考えています。
人は、誰かから与えられた正解よりも、自分自身で考え、納得した答えの方が行動につながりやすい。
だから私の研修では、一方的に知識を伝えることだけを目的にしません。
問いを投げかけます。
考えてもらいます。
話してもらいます。
自分の経験と結びつけてもらいます。
そして、自分自身の答えを見つけてもらいます。
「研修」ではなく「変化のきっかけ」をつくる
私が研修で大切にしているのは、
「受講者に答えを渡すこと」ではなく、「受講者が自分の答えを見つけること」
です。
だから、同じテキストを使っていても、毎回同じ研修になるとは限りません。
受講者の反応を見ながら、話す順番を変える。
スピードを変える。
問いを変える。
その場で出てきた発言を拾い、深掘りする。
これが私の考える「ライブ型研修」です。
研修は、舞台上で講師が一方的に話す時間ではありません。
受講者と一緒につくる時間です。
そして、本当に重要なのは「研修後」
さらに大切なのが、研修が終わった後です。
例えば営業研修であれば、
研修を受ける
↓
現場で実践する
↓
うまくいかない
↓
原因を考える
↓
改善する
↓
もう一度実践する
このサイクルを回して初めて、学びが行動に変わっていきます。
株式会社ファーストステップでは、企業によっては研修だけでなく、営業プロセスの整理、営業資材へのアドバイス、実際の営業同行など、現場に入り込んだ支援も行っています。
なぜなら、
「研修をすること」がゴールではないからです。
「研修を受けてからが始まりだった」
そう言ってもらえる状態をつくることが、本当のゴールです。
行動変容は、一気には起きない
人が変わるとき、劇的な変化だけが「成長」ではありません。
昨日より一回多く質問した。
部下の話を最後まで聴いた。
自分から一つ提案した。
先送りしていた仕事に着手した。
会議で一度発言した。
そんな小さな変化の積み重ねが、やがて大きな行動変容につながります。
だからこそ、人材育成では「一回の研修で何を伝えたか」だけではなく、
「研修後に何が変わったのか」
を見る必要があります。
研修の評価を「満足度」だけで終わらせない
もちろん、受講者満足度は大切です。
しかし、
「満足しました」
だけでは、企業の成果には直結しません。
これからの人材育成では、
- 受講者の意識がどう変わったか
- 行動がどう変わったか
- 上司や周囲との関係がどう変わったか
- 現場で何が実践されたか
- チームにどんな変化が起きたか
まで見ていくことが重要になります。
研修会社や講師が評価される時代から、
「人と組織をどう変えたか」が問われる時代へ。
私はそう考えています。
「研修を受けて終わり」を終わらせる
研修は、ゴールではありません。
スタートです。
だから私は、
「受けて良かった」ではなく、「受けてからが始まりだった」
と言ってもらえる研修を目指しています。
知識を得る。
気づく。
考える。
決める。
行動する。
振り返る。
また行動する。
この循環をつくる。
それが、行動変容につながる人材育成です。
そして、その先にあるのが、自律型人材、自律型組織の実現です。
「研修をやったのに変わらない」のではありません。
もしかすると、研修で終わってしまっているのかもしれません。
人材育成で本当に大切なのは、
研修の中身ではなく、研修の後に何が起きたか。
私は、そう考えています。
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