2026/09/23

片野メソッド ~働く大人を元気にする自律型人材育成の教科書~第9回 「ポジションから、ミッションへ」

片野メソッド ~働く大人を元気にする自律型人材育成の教科書~第9回 「ポジションから、ミッションへ」

― 肩書きではなく、「自分は何のために働くのか」が人を動かす ―

「あなたは何の仕事をしていますか?」

こう聞かれたら、多くの人はこう答えるでしょう。

「営業です」

「管理職です」

「人事です」

「課長です」

もちろん、それは間違いではありません。

しかし私は、そこからもう一つ質問したい。

「では、あなたは何のために、その仕事をしているんですか?」

ここで答えが止まる人は少なくありません。

実は、この違いが「ポジション」と「ミッション」の違いだと私は考えています。


ポジションは「何をするか」、ミッションは「なぜするか」

ポジションとは、役職や立場です。

営業担当。

課長。

部長。

人事担当。

経営者。

一方、ミッションとは、

「自分は何のために、この仕事をしているのか」

という問いです。

営業だから商品を売る。

課長だから部下を管理する。

人事だから採用する。

もちろん、それも仕事です。

でも、その先にある目的を考えてみる。

営業なら、「商品を売る」のではなく「お客様の課題を解決する」。

管理職なら、「部下を管理する」のではなく「部下が力を発揮できる環境をつくる」。

人事なら、「人を採用する」のではなく「会社の未来をつくる仲間を迎える」。

同じ仕事でも、意味づけが変わります。


人は「作業」より「意味」で動く

人材育成の現場で、私はこの違いを非常に大切にしています。

「これをやってください」

という指示だけでは、人は「作業」として受け取ることがあります。

しかし、

「なぜ、この仕事が必要なのか」

「誰のためにやるのか」

「この仕事によって、何を実現したいのか」

まで理解できると、仕事への向き合い方が変わります。

だから、主体性を育てるためには、行動を細かく指示するだけでは不十分です。

その行動の意味を、自分自身で理解すること。

これが重要です。


「守体性」から「主体性」へ

私が提唱している「守体性」という考え方も、ここにつながっています。

守体性とは、

「誰かに答えを出してもらう」

「指示されたことをやる」

「失敗しないことを優先する」

といった、受け身になりやすい状態です。

一方、主体性とは、

「自分はどうしたいのか」

「自分には何ができるのか」

「自分は何を選ぶのか」

を考え、行動すること。

つまり、

「会社から与えられた仕事」から「自分が意味を見出した仕事」へ。

ここに大きな変化があります。


管理職ほど「ポジション」に引っ張られる

特に管理職になると、この問題は大きくなります。

「課長だから、部下を動かさなければ」

「上司だから、答えを出さなければ」

「責任者だから、全部自分で判断しなければ」

そう考えるほど、管理職自身が仕事を抱え込んでしまいます。

そして、部下には細かく指示を出す。

部下は指示を待つ。

管理職は「もっと主体的に動いてほしい」と思う。

さらに細かく指示する。

すると、ますます部下は考えなくなる。

この循環を変えるには、管理職自身が「自分の役割」を捉え直す必要があります。

課長の仕事は、部下の仕事を奪うことではありません。

部下が自分で考え、行動できる状態をつくること。

ここに管理職としてのミッションがあります。


仕事に「自分の意味」を持てる人は強い

私は、キャリアデザイン研修でも「自分は何をしたいのか」だけではなく、

「自分は何のために働くのか」

を考えることを大切にしています。

給料。

役職。

評価。

もちろん、それも大切です。

しかし、それだけでは長く働く中で苦しくなることがあります。

「自分は誰の役に立っているのか」

「何を実現したいのか」

「どんな人間になりたいのか」

こうした問いを持っている人は、環境が変わっても自分なりの軸を持ちやすくなります。


AI時代だからこそ「ミッション」が重要になる

AIによって、仕事のやり方はこれからさらに変わっていきます。

情報を集める。

文章を作る。

資料をまとめる。

データを分析する。

こうした仕事は、これまで以上に効率化されていくでしょう。

だからこそ、人間にしかできないことの価値が高まります。

「私は何を実現したいのか」

「誰のために働くのか」

「何を大切にするのか」

そして、

「自分はどう生きたいのか」

という問いです。

AIは答えを出せます。

でも、

「そもそも、何を答えにするのか」

を決めるのは人間です。

だから私は、AI時代こそ「ミッション」が重要になると考えています。


ポジションは会社が与えられる。でも、ミッションは自分で見つける

役職は会社から与えられます。

肩書きも与えられます。

仕事も与えられます。

しかし、

その仕事にどんな意味を持たせるのかは、自分で決めることができます。

同じ営業でも、ただ数字を追う人と、お客様の未来を本気で考える人では、仕事への向き合い方が違います。

同じ管理職でも、部下を管理する人と、部下の可能性を引き出す人では、組織に与える影響が違います。

だから私は、社員の主体性を育てるとき、

「もっと自分から動いてください」

だけでは終わらせません。

「あなたは、何のためにこの仕事をしているのですか?」

この問いから始めます。


「何をするか」から「なぜするか」へ

ポジションから、ミッションへ。

これは単なる言葉の置き換えではありません。

仕事への向き合い方を変える考え方です。

何をするか。

ではなく、

なぜするのか。

何を求められているか。

ではなく、

何を実現したいのか。

会社に何をしてもらうか。

ではなく、

自分は会社に何を生み出せるのか。

そんな問いを持つ人が増えたとき、組織は少しずつ変わっていきます。

人は、ポジションだけでは動かない。

自分の中にある「意味」や「使命」を見つけたとき、仕事は「やらされるもの」から「自分がやるもの」へ変わっていく。

それが、主体性の本質なのだと私は考えています。

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