片野メソッド ~働く大人を元気にする自律型人材育成の教科書~第5回 習慣が人を変える。行動を続けられる人になるセルフマネジメント
― 「頑張り続ける」から「自然と続けられる」へ ―
人は「一度の決意」では変わらない
「今年こそ変わろう」
「もっと勉強しよう」
「毎日運動しよう」
「仕事のやり方を変えよう」
そう決意した経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。
しかし、最初は頑張れても、数日、数週間と経つうちに、いつの間にか元の状態に戻ってしまう。
なぜでしょうか。
それは、意志が弱いからではありません。
「行動を習慣に変えるところまで設計できていないから」です。
第4回では、モチベーションに頼らず行動することの重要性についてお伝えしました。
では、行動を一時的なものにせず、継続していくにはどうすればいいのか。
そこで重要になるのが「習慣」です。
「やる気」ではなく「仕組み」で続ける
毎日、強い意志を持ち続けることは簡単ではありません。
仕事が忙しい日もある。
疲れている日もある。
気分が乗らない日もある。
だからこそ、セルフマネジメントでは「頑張り続けること」よりも、「頑張らなくても続けられる状態をつくること」が重要になります。
例えば、「毎日1時間勉強する」と決めても、忙しい日には続きません。
だったら、
「毎朝、コーヒーを飲んだら5分だけ本を読む」
というように、すでにある行動と新しい行動を結びつける。
「運動する」という目標も、
「毎日30分走る」
ではなく、
「仕事から帰ったら、まず5分だけ歩く」
とハードルを下げる。
大切なのは、最初から完璧を目指さないことです。
「続けられる大きさ」にする。
これが習慣化の第一歩です。
片野のセルフマネジメント研修では何をするのか
では、実際にセルフマネジメント研修では何をするのでしょうか。
片野の研修では、単に「良い習慣をつくりましょう」と伝えて終わりません。
まず、自分自身の現在の行動を振り返ります。
「今、自分はどんな習慣を持っているのか」
「その習慣は、自分の仕事や人生にどんな影響を与えているのか」
「やめたいと思っているのに、なぜ続けてしまっているのか」
「本当は変えたいのに、なぜ変えられないのか」
こうした問いを通じて、自分自身の行動パターンを可視化します。
そのうえで、
「これから身につけたい習慣は何か」
を一つに絞ります。
ここが重要です。
いきなり10個も変えようとしない。
まず、一つ。
そして、その一つを「いつ」「どこで」「何をするのか」まで具体化します。
「明日から頑張る」ではなく「明日の○時に○○する」
例えば、
「もっと部下とコミュニケーションを取る」
では、まだ抽象的です。
そこで、
「毎朝9時までに、部下の一人に必ず声をかける」
まで具体化します。
「もっと勉強する」
ではなく、
「毎朝出勤前の10分間、○○について学ぶ」
にする。
「仕事を効率化する」
ではなく、
「毎週金曜日の終業前に、今週やめられる業務を一つ見つける」
と決める。
行動を具体化すると、自分で実行できるかどうかが明確になります。
そして、実行できたら振り返る。
できなかったら、自分を責めるのではなく、「なぜできなかったのか」を考える。
この「実行→振り返り→修正」のサイクルを回すことが、セルフマネジメントの実践です。
習慣化によって得られるもの
習慣が身につくと、単に「継続力が高くなる」だけではありません。
まず、自分との約束を守れるようになります。
「自分で決めたことを、自分で実行できた」という小さな成功体験が積み重なります。
すると、自己効力感が高まります。
「自分ならできる」
という感覚が生まれる。
その感覚が、さらに新しい挑戦を生みます。
つまり、
小さな行動
↓
小さな成功体験
↓
自信
↓
次の行動
↓
新しい習慣
という好循環が生まれるのです。
これこそが、自律型人材育成において重要なポイントです。
習慣を変えると、仕事への向き合い方が変わる
例えば、毎日一つ「今日、自分が改善できること」を考える習慣を身につけた社員がいたとします。
最初は小さな変化かもしれません。
しかし、毎日考え続ければ、
「もっとこうした方がいい」
「この業務は効率化できる」
「この伝え方の方が部下に伝わる」
と、自分から改善点を見つけるようになります。
これは、単なる習慣化ではありません。
主体性そのものが習慣になっていく。
だからこそ、セルフマネジメントと自律型人材育成は深くつながっています。
「守体性」から「主体性」へ。そして「習慣」へ
片野メソッドでは、
守体性 → 主体性 → 行動 → 習慣
という流れを大切にしています。
誰かにやらされるのではなく、自分で考える。
自分で考えたことを、自分で選択する。
選択したことを、自分で行動する。
そして、その行動を習慣にする。
ここまでできて初めて、「自律している」と言えるのではないでしょうか。
自律型人材とは、常に高いモチベーションを持っている人ではありません。
気分が乗らない日でも、自分で決めたことを淡々と実行できる人です。
習慣が変われば、未来が変わる
人生を大きく変えるのは、特別な一日ではありません。
毎日の小さな選択です。
今日、何をするのか。
何をやめるのか。
何を続けるのか。
その選択が積み重なって、未来の自分をつくります。
だからこそ、私は研修の中で「明日から何をしますか?」と問いかけます。
そして、「頑張ります」では終わらせません。
「具体的に、いつ、何をしますか?」
ここまで落とし込みます。
研修を受けたその日だけ意識が高くなるのではなく、職場に戻ってから一つの行動を変える。
その行動を続ける。
続けることで習慣になる。
習慣が変われば、仕事への向き合い方が変わる。
仕事への向き合い方が変われば、成果が変わる。
人は、決意で変わるのではない。
毎日の習慣で変わる。
だから、いきなり人生を変えようとしなくていい。
まずは明日の一つの行動を変える。
その一歩から、自律型人材への成長は始まります。
それが、片野泰敬が考えるセルフマネジメントです。
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