新人営業研修の内容まとめ|基本スキル・マナー・商談の型まで
新人営業の立ち上がりは、「何を、どの順で、どこまで教えるか」で大きく差がつきます。
最初にマナーだけを徹底しても、商談で何を話せばいいかが分からなければ成果は出ません。
逆に、商材説明だけを詰め込んでも、信頼を損なう対応や、商談の進め方に迷いがあると受注につながりません。
さらにOJT任せにすると、教える内容や基準が人によって違い、育成が属人化しやすくなります。
新人営業研修で大切なのは、「マナー(信頼の土台)× 基本スキル(成果の基礎)× 商談の型(再現性)」をセットで押さえ、研修後の現場実装まで含めて設計することです。
この記事では、新人営業研修で扱うべき内容を一般的な観点で整理し、現場で使える形にまとめます。
新人営業研修の目的
目的1:営業活動の基本動作を身につける
営業はセンスだけで成果が決まる仕事ではありません。
成果が出る人ほど、準備・ヒアリング・提案・次回設定といった基本動作が安定しています。
新人営業研修の目的は、まずこの基本動作の型を身につけることです。
「アポ前に何を調べるか」「商談で何を聞くか」「提案はどう組み立てるか」「次回をどう取るか」まで、迷わず実行できる状態を作ることがスタートになります。
目的2:失敗を減らし、自信を作る
新人がつまずく最大の理由は、「分からない状態で実戦に出る」ことです。
何が正解か分からないと、断られたときに改善点が見えず、萎縮して行動量も落ちます。
型を学び、ロープレで練習し、フィードバックで改善点を明確にすることで、失敗の確率を下げられます。
失敗が減ると自信がつき、行動量が増え、結果がついてくる、という好循環が生まれます。
目的3:会社の営業スタイルを標準化する
新人育成をOJT任せにすると、「上司によって言うことが違う」「教える順番がバラバラ」という状態になりがちです。
結果として、新人は混乱し、成果も安定しません。
研修で共通言語(商談のフロー、ヒアリング項目、提案の構成、次回設定の基準など)を作っておくと、育成の品質が揃い、再現性が上がります。
新人が増える組織ほど、標準化の価値は大きくなります。
新人営業研修で最初に押さえる土台
営業は“売る”より“課題解決”
新人営業が最初に陥りやすいのが、「売ること」ばかりを意識してしまうことです。
すると、商品説明が長くなったり、相手の話を聞く前に提案してしまったりして、押し売りに見えやすくなります。
営業の基本は、相手の状況と課題を理解し、解決の選択肢として提案すること。
商談の中心は商品ではなく顧客の課題です。
この視点を早い段階で持てると、ヒアリングの質が上がり、提案も通りやすくなります。
成果は「行動量×質」で作る
新人は、経験が少ない分だけ“質”に意識が向きがちですが、最初は行動量がないと改善点も見えません。
一方、闇雲な行動量だけでも疲弊します。
そこで、「行動量(件数)」と「質(商談の型・準備・振り返り)」をセットで回すことが重要です。
行動ログを取り、振り返りを習慣化するだけでも、成長スピードは大きく変わります。
コンプライアンス・情報管理の基本
営業活動は、顧客情報や社内情報を扱う機会が多い仕事です。
新人のうちから以下を明確にしておくことが欠かせません。
- 個人情報・機密情報の取り扱い(共有範囲、保管方法)
- SNSや外部ツールでの情報発信の注意点
- 録音・録画の扱い(社内ルールに従う)
- 誇大表現や不適切な比較の禁止(商談の説明責任)
「売上のためなら何をしてもいい」にならないための土台づくりも研修の重要テーマです。
ビジネスマナー
営業は信頼が土台です。
商談の中身が良くても、マナーで不信感を与えると前に進みません。
新人営業研修では、最低限のマナーを「できる状態」まで引き上げる必要があります。
第一印象:身だしなみ・挨拶・名刺交換
第一印象は短時間で決まります。
身だしなみ(清潔感、TPO、オンライン時の画面映り)、挨拶の声量と表情、名刺交換の手順は、新人のうちに基本を揃えることが重要です。
特に名刺交換は“慣れ”が必要なので、ロールプレイで身体に覚えさせるのが効果的です。
メール・電話・オンライン商談の作法
営業では、対面以前にメールや電話で評価が決まることもあります。
押さえるべきポイントは次の通りです。
- 件名は要件が一目で分かる形にする
- 結論ファーストで短く書く(背景→要件→期限)
- 返信速度の基準(即レスが必要な場面の定義)
- 電話は「名乗り→要件→確認→復唱→お礼」が基本
- オンラインは音声・照明・カメラ位置・画面共有の準備が信頼に直結
訪問・来社対応の基本
訪問時は時間管理と段取りが命です。
到着時刻の目安、持ち物(名刺、資料、筆記具、予備)、受付での言い方、退出時の挨拶までを一連で練習します。
来社対応も同様に、案内、席次、飲み物、会議室準備など、基本を押さえておくと安心です。
敬語・言葉遣い
新人がやりがちな言い回しを、研修で早めに直すと信頼低下を防げます。たとえば、
- 「了解です」→「承知しました」
- 「なるほど」→「おっしゃる通りです」「理解しました」
- 「ちょっと待ってください」→「少々お待ちください」
こうした“クセ”は、ロープレで気づかせて修正するのが効果的です。
営業の基本スキル
ここからは、新人営業研修の核となる「基本スキル」を整理します。
ポイントは、スキルを“知る”だけでなく、使える“型”に落とすことです。
準備力(アポ前の情報収集・仮説)
新人ほど準備の差が商談の質に直結します。
準備の基本は「相手を知る」「業界を知る」「仮説を持つ」の3点です。
- 顧客の事業内容、顧客の顧客(市場)、最近の動き
- 業界課題(人手不足、コスト、規制、競合など)
- 想定される課題と質問リスト
- 商談の目的(今日何を決めたいのか)
- 次回につなげるための資料・事例
準備ができると、ヒアリングの質問が鋭くなり、相手も「分かっている人だ」と感じやすくなります。
ヒアリング力(質問→深掘り→整理)
営業の成果は、ヒアリングで半分決まると言っても過言ではありません。
ヒアリングは「質問する」だけでなく、「深掘りして、整理して、合意する」ことが重要です。
- オープン質問:状況を広く聞く(例:現在の運用はどのような流れですか?)
- クローズ質問:条件を絞る(例:導入希望時期は今期でしょうか?)
- 深掘り:理由・背景・影響・理想を聞く(例:それで何が困っていますか?)
- 要約:相手の言葉を整理して確認する(例:つまり◯◯がボトルネック、という理解で合っていますか?)
また、意思決定の全体像(誰が決めるか、いつまでに決めるか、予算はどうかなど)も、無理のない範囲で確認していくと、提案や次回設定がブレにくくなります。
提案力(価値を言語化する)
新人の提案が通りにくい理由の多くは、「機能説明」になってしまうことです。
顧客が買うのは機能ではなく、“課題が解決される未来”です。
提案の基本構成はシンプルで、次の流れにすると分かりやすくなります。
- 課題の整理(ヒアリング内容の要約)
- 解決方針(どの考え方で解決するか)
- 具体策(商品・サービスの位置づけ)
- 効果(何がどう良くなるか)
- 根拠(事例、数字、比較、プロセス)
この枠組みがあると、説明が長くなりにくく、相手の理解も進みます。
特に新人は「全部説明したい」になりがちなので、課題との関連が薄い話は削る、という判断ができるようにすることが重要です。
クロージング/次回設定(前に進める力)
新人営業の商談は、受注に直結しないケースも多いはずです。
それでも「前に進める」ことはできます。
ポイントは、商談の最後に次に決めることを明確にし、次回のアクションを合意することです。
- 次回までに何を準備するか(資料、見積、比較表、社内確認など)
- 誰が何をするか(顧客側・自社側)
- いつまでに、いつ次回を取るか
「検討します」で終わるのではなく、検討の材料と期限を一緒に決める。
これが次回設定の基本です。
顧客管理(CRMの基本・メモの取り方)
営業は記録の仕事でもあります。
記録が弱いと、引き継ぎも改善もできません。
CRMや商談メモでは、少なくとも以下を残す習慣を新人のうちに作ります。
- 顧客の現状、課題、優先順位
- 重要人物(意思決定者、現場責任者、関係者)
- 次のアクション(期限・担当)
- 反応や懸念点(価格、比較、導入障壁)
- 次回に聞くべき質問
記録は「思い出すため」ではなく、「再現するため」と意識できると成長が加速します。
商談の型
新人が商談で迷う原因は、「何から話せばいいか」「どこまで聞けばいいか」が整理できていないことです。
そこで、商談の基本フローを型として持たせます。
商談の基本フロー
新人がまず覚えるべき標準フローは次の通りです。
- アイスブレイク(短く、自然に)
- 目的共有(今日のゴールを合わせる)
- ヒアリング(現状→課題→理想→制約)
- 提案(課題整理→解決方針→具体策→効果)
- 合意形成(懸念点の確認、条件のすり合わせ)
- 次回設定(次のアクションと期限)
フローを持つだけで、商談の“筋”が通り、相手の安心感も高まります。
トークの型(PREP/SDSなど)
説明が長くなる新人には、話し方の型が効果的です。
代表例として、
- PREP(結論→理由→具体例→結論)
- SDS(概要→詳細→まとめ)
などがあります。
「何を言うか」だけでなく「どう伝えるか」を型にすると、説得力が上がり、相手の理解も進みます。
質問・切り返しの型(よくある反論対応)
商談では、反論が出るのが普通です。
新人が怖がるのは、反論を“拒否”と捉えてしまうからです。
実際には反論は「情報」であり、検討を進めるための材料です。
よくある反論と基本対応の考え方は以下です。
- 「高い」
- まず理由を確認(何と比較して高いのか、どの条件で高いのか)
- 効果・リスク・運用工数など、価値の観点で整理し直す
- まず理由を確認(何と比較して高いのか、どの条件で高いのか)
- 「検討します」
- 検討のポイントを確認(何を見て判断するか)
- 次回までの材料と期限を合意する
- 検討のポイントを確認(何を見て判断するか)
- 「他社と比較中」
- 比較軸を確認(価格、機能、サポート、導入負荷など)
- 比較表や事例など判断材料を用意する
- 比較軸を確認(価格、機能、サポート、導入負荷など)
反論対応は“言い返す”のではなく、“判断材料を整える”こと。
ここを新人に理解させると、商談の進め方が安定します。
ロープレとフィードバック
新人営業研修は、座学だけでは伸びません。
実際に話して、直して、また話す、この反復が必要です。
ロープレは“台本→応用→実戦”の順で
いきなり実戦形式のロープレをすると、新人は混乱して失敗体験が強く残りがちです。
まずは台本(基本フローとトーク)を覚え、次に応用(質問の深掘りや反論対応)、最後に実戦(ケースを変える)という順番で難易度を上げると、成功体験を積みやすくなります。
評価観点を固定する
ロープレの成長速度を上げるには、評価観点を固定することが効果的です。
例として、以下の観点が使いやすいです。
- 準備(仮説・質問があるか)
- 質問(深掘りできているか)
- 要約(課題整理ができているか)
- 提案(課題→解決策→効果の筋が通っているか)
- 次回設定(アクションと期限が決まっているか)
観点が固定されると、フィードバックがブレず、改善点が明確になります。
フィードバックの型(事実→影響→改善案)
フィードバックは感想になりやすいので、型を使います。
- 事実:どの発言・行動があったか
- 影響:相手にどう見えるか/商談にどう影響するか
- 改善案:次回どう言い換えるか/何を足すか
叱るよりも、改善の方向を具体化することが新人の成長を加速します。
研修後に定着させる運用(OJT連動)
新人営業研修は、当日で終わらせず、現場で“使って定着”させて初めて価値が出ます。
同行・振り返りで学びを固定する
研修後は、同行や商談の振り返りが重要です。
振り返りは「うまくいった/いかなかった」ではなく、次のように整理します。
- 事実:どこで何が起きたか
- 解釈:原因は何か(準備、質問、提案、次回設定)
- 次の一手:次回は何を変えるか
短いサイクルで回すと、改善が積み上がります。
行動KPIを置く(成果KPIより先に)
新人は成果が出るまで時間がかかります。
そこで、成果KPIの前に行動KPIを置きます。(例:架電数、商談数、提案数、訪問数、振り返り実施率など)
行動KPIが安定すると、経験量が増え、改善が進み、成果が出やすくなります。
つまずき別のフォロー
新人のつまずきは個別です。
代表的には、
- 断られるのが怖い(行動量が落ちる)
- ヒアリングが浅い(提案が刺さらない)
- 提案が長い(要点がぼける)
- 次回設定が弱い(前に進まない)
などがあります。
つまずきに合わせて、練習メニュー(質問テンプレ、要約練習、提案の型、次回設定の台本)を当てると改善が速くなります。
新人営業研修でよくある失敗と対策
新人営業研修でありがちな失敗は、次の3つです。
- マナーだけで終わる:信頼は守れるが成果につながらない
- 商材説明だけで終わる:相手の課題とつながらず、押し売りに見える
- OJT任せで属人化する:教える内容がバラバラで再現性がない
対策は明確で、型+練習+振り返り+共通言語化をセットにすることです。
新人が迷わないフローを作り、ロープレで使える状態にし、現場で実装し、短いサイクルで改善を回す。
これが早期戦力化の王道です。
まとめ
新人営業研修は、「マナー(信頼)+ 基本スキル(準備・ヒアリング・提案・次回設定)+ 商談の型(進行フレーム)」をセットで教えることで効果が出やすくなります。
研修当日の理解だけで終わらせず、ロープレとフィードバックで「できる」に近づけ、OJTと連動して現場で定着させることが重要です。
まずは、商談の基本フローと「次回設定までの型」を標準化し、行動ログと振り返りで改善を回してみてください。
新人の迷いが減り、行動の質が揃い、成果が出るまでのスピードが上がっていきます。
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